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ダンサー伊藤道郎 (1892 – 1961) へのオマージュのTamaproの新作として、”舞踏詩劇” のライブ・パフォーマンスを玉塚充さん、永澤康太さんと共に”トルタラボ”で行い、音楽を担当させていただきました。実験的要素の高いライブアート映像作品です。
“Let’s Rorschach” ~Homage to Michio Ito~
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最近まで私も本当知らなかったのですが、伊藤道郎というダンサーの存在にはびっくりしてしまいました。

伊藤道郎 は、ノーベル賞受賞のアイルランの詩人 W.B.イエーツが「能」に共感して作った「鷹の井戸」“At the Hawk’s Well” を、1916年にロンドンで舞台化し、自ら踊りました。

イエーツの「鷹の井戸」には永遠の命を得られる泉が湧くという井戸の前で何十年も待っている老人、井戸を守る鷹、ケルトの若き英雄クーフリンの三者が登場します。

「鷹の井戸」にはイエーツの「能」へ傾倒、ケルト神話との内的融合など、非常に深いテーマと今日の私たちへのヒントがあるように思われます。それにしても伊藤道郎という人、日本人のアーティストとしてこんな先人がいたということ自体に本当に敬意と驚きを感じます。

オペラ歌手を目指してドイツに渡り、現地で山田耕作に勧められてダンスに転向。ダルクローズ音楽院でダンスを始め、イザドラ・ダンカンの実演にも触れてインスパイアされ、作曲家のホルストには「Japanese Suite(日本組曲)」を委嘱!

アメリカに渡ってからは、マーサ・グラハム、レスター・ホートンらを同朋としながら、NYでは4000人に及ぶという大規模な自分のダンススクールも運営。多くの同時代の芸術家、ダンサーに影響を与える。

戦時中はスパイ容疑をかけられ逮捕。戦後は駐留軍向けの「アーニーパイル劇場」(現、東京宝塚劇場)で舞台監督、東京オリンピックの開閉会式の演出を依頼されていながら、直前に亡くなった。。。
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伊藤道郎自身の踊りは、残された映像がほとんどないのですが、立ち位置からの手の繊細な表現に特徴があったようで、日本舞踊や盆踊りとか手の動きから出てきたような動きが彼の独自の方法で融合されていたと予想されます。その意味では玉塚充氏の動きはMichioに近いものがあるようで、東西の橋渡しの役割も含めてこのオマージュを発案・監督された玉塚氏は今回、あちら(?)から呼ばれていたのかな(?!)とも勝手に思ってしまいます。。。

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今回のパフォーマンスでは、”舞踏詩劇” の”詩劇”として、詩人の永澤康太さんのその場でのポエトリーリーディングで繰り出されるMichioに寄せる言葉のイメージがまた鮮烈でした。

その言葉の息遣いにどう寄り添うのか。。
事前に口頭での打ち合わせましたが、後はリハーサルなしの本番のみ。永澤さん、玉塚さんとの本当にその場限りの即興性の高いライブなやり取りを記録していただいたかたちになりました。
舞輝く扇子、光。。
伊藤道郎の研究者として来日中で、今回のパフォーマンスの大きなきっかけを作っていたいだTara Rodmanさんにも当日お立会いいただけたことも大きな喜びでした。

詩人たちが詩を壁に書ける!という稀有な設備を持った「トルタラボ」!
ご協力いただき、心より感謝いたします。

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title: “Let’s Rorschach” Homage to Mishio Ito
Directed by Mitsuru Tamatsuka (玉塚充)
Dance: Mitsru Tamatsuka (玉塚充)
Poetry: Kota Nagasawa (永澤康太)
Music: Hidetake Yamakawa (山川英毅)
Cinematography: Keisuke Sagiyama (鷺山啓輔)
Remi Hashimoto (橋本玲美)
Mask Design: Takeshi Masubuchi (増渕剛志)
Editing: Remi Hashimoto(橋本玲美)
Cooperation: TOLTA
Special Thanks to Tara Rodman
We did a homage live art performance “Let’s Rorschach”for the great Japanese dancer Michio Ito (1892 – 1961), who choreographed W.B. Yeats’s“At the Hawk’s Well”in 1916 in London. Special thank to Ms. Tara Rodman, a great scholar of Michio Ito who inspired us to do this dedication.